【第158回定例研究会】    
   テーマ「水素・エネルギーキャリアの製造・利用のための革新的基盤技術」 

13:30-13:35 開会の挨拶(HESS)

13:35-13:50
「ご挨拶・領域のご紹介」
  エネルギーキャリア 研究総括 江口 浩一 氏(京都大学 大学院工学研究科 教授)
 2013年に開始したCREST/さきがけ領域「再生可能エネルギーの輸送・貯蔵・利用に向けた革新的エネルギーキャリア利用基盤技術の創出」では、再生可能エネルギーを安定的・効率的に利用する水素エネルギー社会の実現に向け、エネルギーを貯蔵・輸送の担体となるエネルギーキャリアに効率的に変換し、さらに、エネルギーキャリアから電気エネルギー、水素、動力等を取り出して利用する基礎的・基盤的技術の創出を目指しています。

13:50-14:10
「メンブレン一体型光触媒シートの開発と人工光合成反応系の構築」
  東京大学 大学院工学系研究科 准教授 嶺岸 耕

 光触媒・光電気化学反応は太陽エネルギーを利用して有用物質が得られる、人工光合成反応として盛んに研究されている。本研究において、光触媒を導体上に固定化した光触媒シートを隔膜と一体化し、水を水素源としてトルエンを水素化、水素キャリアであるメチルシクロヘキサンを直接生成するメンブレン一体型光触媒シートを開発したので報告する。

14:10-14:30
「液−液−固三相界面構造を制御した有機ハイドライド電解合成」
  富山県立大学 工学部 環境・社会基盤工学科 准教授 脇坂 暢 氏

 マイクロエマルションは、通常のエマルションと異なって熱力学的に安定な分散系であり、電極表面上にプロトンと芳香族炭化水素を同時に供給することができる。演者は、マイクロエマルションを反応場として用いることで、トルエンからメチルシクロヘキサンを高ファラデー効率で直接電解合成することに成功した。反応活性並びに選択性は、電極表面構造、組成及び担体材料に強く依存することが明らかとなった。

14:30-14:50
「固体高分子形燃料電池の代替を実現する直接ギ酸形燃料電池の開発」
  金沢大学 理工研究域 准教授 辻口 拓也 氏

 本研究室ではエネルギーキャリアとしてギ酸に注目し、その直接利用を目指して直接ギ酸形燃料電池の高出力化に取り組んでいる。今回は、直接ギ酸形燃料電池の高出力化に向けた技術的な課題とその解決に向けて本研究室で開発した新規触媒およびそれを用いた電極の設計指針について紹介する。

14:50-15:05 休憩

15:05-15:35
「新規固体酸化物形共電解反応セルを用いた革新的エネルギーキャリア合成技術(キャリアファーム共電解技術)の開発」
  (国研)産業技術総合研究所 無機機能材料研究部門 副部門長 藤代 芳伸 氏
 再生可能エネルギーを有効利用するために、輸送・貯蔵の観点から既存のインフラ設備を利用できるメタン等のエネルギーキャリア高効率合成技術を開発する技術が注目されている。CREST研究の一テーマとして、固体酸化物形電解セル(SOEC)製造技術やその触媒機能電極技術等を活用し、水蒸気と二酸化炭素から高効率かつ連続反応によるメタン合成などの共電解技術の研究を進めてきた。本発表ではSOEC共電解でのメタン合成技術の研究成果に関して発表する。

15:35-16:05
「エネルギーキャリアとしてのアンモニアを合成・分解するための特殊反応場の構築に関する基盤技術の創成」
  大分大学 理工学部 准教授 永岡 勝俊 氏
 アンモニアは、室温、1 MPa以下で液化でき、水素含有量やエネルギー密度が高く、分子中に炭素原子を含まない等の特徴を持ち、エネルギーキャリアとして有望視されている。我々は、再生可能エネルギーから生成した水素の利用に適した温和な条件でアンモニアを合成できる触媒と、常温でアンモニアと酸素を触媒に供給するだけで水素を製造できるプロセスの開発に成功した。

16:05-16:20 休憩

16:20-16:40
「ゼロエミッションを実現するアンモニア燃焼触媒の物質設計と応用」
  熊本大学 大学院先端科学研究部 助教 日隈 聡士 氏

 近年、NH3はカーボンフリーな石油代替燃料として注目されているが、燃焼器へ利用するためには燃焼開始温度の低下と、N2O/NOx生成の抑制が求められる。このようなNH3燃料の課題を解決するため触媒燃焼法に着目し、これまで金属酸化物のNH3燃焼活性が金属-酸素間結合強度に依存すること、酸化銅を用いた触媒が高活性と低N2O/NO(高N2)選択性を示すことを明らかにした。本講演では担持酸化銅触媒の燃焼反応特性や反応機構について詳しく紹介する。

16:40-17:00

「中温領域で作動する直接アンモニア形水素膜燃料電池の創製」
  北海道大学 大学院工学研究院 准教授 青木 芳尚 氏

 本研究では、水素透過合金アノードとプロトン伝導性セラミックス薄膜の金属ー酸化物接合をベースとした中温作動型直接アンモニア形燃料電池を創出した。この界面で生じる酸化物イオンブロッキングによって生じるフラストレーションを活用し、500℃にて数百mWの出力を達成した。

17:00-17:05 閉会挨拶(HESS) 

17:30-19:30 意見交換会(有料)
                                   

日 時: 2019年3月8日(金)
会 場: タワーホール船堀 小ホール